焦点 看護研究における数量化の考え方
解説
平均値の意味
福富 和夫
1
1国立公衆衛生院衛生統計学部
pp.167-172
発行日 1981年7月15日
Published Date 1981/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200651
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数量化と平均
科学研究の第一歩が正確かつ精密な観察から始まることは,誰しも異論をはさむところはなかろう。不正確な観察から正しい科学的認識が得られるはずがない。ところで観察結果にもさまざまなものがある。体重や血圧などのように,計器を用いて測定されるものもあれば,質問票による調査のように,あらかじめ用意された回答群の一つに,振り分けられるようなものもある。前者のようなデータは数量データとよばれ,後者は質的データとよばれている。
質的データは,データのもつ本質的な性格から,さらに二つに分けられる。一つは性別,特定症状の有無,疾患の種類など,全く質的な情報のみを伝えるものであり,他は症状の程度,たとえば,顕著,中程度,軽微などや,経過観察における,良好,不変,悪化などのように,順序のあるカテゴリーへ分類されるものである。後者を特に,順序をもつ質的データとよぶことにする。
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