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海外論文
痛みの2構成要素(感覚と苦痛)について—痛みの臨床的研究のために
Sensory and Distress Components of Pain : Implications for the Study of Clinical Pain
Jean E. Johnson
1,2
,
Virginia Hill Rice
2
,
遠藤 敏子
3
1ウェーン州立大学・看護学部
2ウェーン州立大学・保健研究センター
3神戸大学医学部付属看護学校
pp.67-75
発行日 1979年1月15日
Published Date 1979/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200574
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痛みの経験には,二つの構成要素--感覚と反応--があるとされている。実験室において,52人の男の被験者が,その腕で虚血性疼痛を経験した。その目的は,痛みの反応性要素の強さは,あらかじめ予測された物理的感覚と実際経験された感覚との一致度の函数であるという仮説の検討にあった。まえもって予測される感覚は,被験者に与えられた予備情報の型に左右された。すなわち,被験者はランダムに次の四つの予備情報条件のいずれかに割り当てられた。①虚血性疼痛の場合生ずる可能性のない感覚を含むもの,②経験することが予測される感覚のうち二つのみを含むもの,③経験されるすべての典型的な感覚を含むもの・④感覚を含まず実験手続の説明のみ。実験中,被験者は別個のスケール上に,感覚の強度と苦痛を評価した。上記②と③の条件では他の二つの条件の場合よりも苦痛の評価が低かった。感覚評価に関しては,情報条件の効果は有意水準にほぼ到達した。以上の結果から臨床場面で,実際の経験に先だち予測される感覚について,部分的な説明を受ける患者は,完全な説明を受ける患者と同程度苦痛が軽減することが示唆された。これら2要素を測定することの潜在的な有効性が,臨床的マネージメントのための痛み閾値測定との関連においても考察された。
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