フロントライン'99 臨床判断
ナースとして成熟するということ—臨床判断の構成要素と段階
佐藤 紀子
1
1東京女子医科大学看護学部
pp.1133-1143
発行日 1999年12月1日
Published Date 1999/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905991
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はじめに
私は25年ほど看護の世界で仕事をしてきました.数年の臨床経験の後に看護学校の教員になり,その後30代に臨床に戻って約10年間仕事をし,40代にまた教育の場に移るというように,臨床と教育の場を行ったり来たりするなかで,自分の関心にもとづいて看護婦の臨床判断(クリニカル・ジャッジメント)の研究をつづけています.きょうはナースとしての成熟ということをテーマにお話させていただきますが,近頃話題の認定看護士についてだとか,そうした制度や資格に照らしてのあるべき論ではなく,すべての看護婦の発達課題としての能力向上,成熟とはどういうことなのかを,臨床判断という側面から考えていきたいと思います.
私は今日変革が迫られている看護管理の課題にしても,1人ひとりの看護婦の持っている臨床能力を高めるということを抜きにして考えることはできないと思っています.プライマリ・ナーシングを導入しても,それで患者さんが受けるケアが良くなるとはかぎらない.逆に,1人ひとりのナースの臨床実践能力,ケアのスキルが高ければ,機能別看護であっても良いケアは提供できる.1人ひとりのナースがどう成長していくか,レベルアップしていくかということが基本であって,そのことがまず前提になければ,どのようなケア提供システムを導入しようとも看護の質は上がらないでしょう.
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