特集 外来診療の質を評価する
医療サービスの評価 その構成要素と評価の枠組みについて
尾藤 誠司
1
1東京医療センター総合診療科/臨床疫学室
キーワード:
医療評価
,
医療の質
,
プロセス
,
アウトカム
Keyword:
医療評価
,
医療の質
,
プロセス
,
アウトカム
pp.196-199
発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100072
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「医療サービス」という言葉に違和感を持っている医療者は少なくないと思う.「サービス」という言葉には,なんだか営利企業が顧客におもねっているようなイメージが付きまとうのだ.実は,私も少し違和感を持っていて,もう少しうまい訳があればよいかな,と時々思う.しかしながら,「サービス」の本質的な意味は,プロフェッショナルが,最大限の誠意とともにその技量を対象者に対して提供する,ということである.その意味においては,心停止患者にACLSを行うことも「医療サービス」の範疇の中にある.接遇的な部分は医療サービスのほんの一部分にすぎない.すなわち,よい医療サービスとは,いかにその受け手――すなわち患者や市民――にとって益の大きな医療提供がなされるか,ということを示すものであり,医療サービスの評価とは,たとえば保険のシステムのようなきわめてマクロなものから,ベッドサイドにおける医療スタッフの細やかな対応まで,提供されるすべての医療に対して,それがどれほど“よいもの”か,査定することを示す.
この数年,医療サービスに関連するような言葉が巷をにぎわしている.「アウトカム評価」「DPC」「インディケーター」「テクノロジー・アセスメント」など,それまでは聞かれなかったような言葉を一般紙でも目にするようになってきた.これは,わが国において,いままで専門家の聖域に安住していた医療が,いよいよ評価される時代になってきたことを明確に示すものであろう.一方では,医療サービスがいったいどのような基準で評価されるのか,ということについて,一定の見解がもたれているとは言いがたい.
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