焦点 再び看護研究とは何かを問う
論説
望ましい学会の姿
橋本 秀子
1
1名古屋大学医療技術短期大学部
pp.12-15
発行日 1978年1月15日
Published Date 1978/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200539
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今日の学会の実態
今日多くの学問領域が,それぞれの独自の研究会・学会組織をもち,研究者相互の情報交換や討論の場を設定している。しかし,それぞれの学問領域の特色によって,その組織のあり方や活動展開の仕方が異なっている。たとえば,医学領域で一例をあげれば,実務的・社会的な性格の強い公衆衛生学や産業衛生学などでは,行政や企業・労働組合などの関係で実務活動を支持する協会組織をもち,学会は一応独立しているが,協会とは表裏一体の関係を保ち,相互の組織の運営は協調を保っている。すなわち,日本公衆衛生協会と日本公衆衛生学会,産業衛生協会と産業衛生学会などのごとくである。しかし,一方では実務とは一切関係なく,学会組織そのものが各種の事業を展開していることもあり,単に,従来の研究上の情報交換といった性格を脱している例もある。すなわち,日本内科学会や医学教育学会などは,それぞれが学術団体として学会活動を展開する一面,各種の委員会活動を通じて実務を行っている。たとえば内科学会の専門医試験委員会がそれに当たる。
このようにして,いずれの学会も単に学術上の情報交換にとどまらず,それぞれの学問と社会との接点に対して,独自のアプローチを試み,学術をベースにした社会活動を展開しているといえるが,ただ一つ共通していることは,いわゆる職能団体としての性格を表面に出していない点である。
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