巻頭言
望ましい司法精神医学の発展
中田 修
1
1東京医科歯科大学犯罪精神医学研究室
pp.1006-1007
発行日 1977年10月15日
Published Date 1977/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202666
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わが国に近代的な法医学が導入されたのは明治8(1875)年である。今年はそれから102年になる。わが国ではじめて精神鑑定が行なわれたのは明治15(1882)年である。今年はそれから95年経ったことになる。わが国独自の司法精神医学教科書である,榊俶・呉秀三著の増補改訂法医学提綱下編が出たのは明治30(1897)年である。今年はそれからちょうど80年になる。つまり,現在のわが国の司法精神医学は100年近い歴史をもっているということである。しかし,その現状はどうであろうか。
わが国における司法精神医学の教科書としては,前に述べた榊俶・呉秀三の著書のほかに,代表的なものとして杉江董著の犯罪精神病概論(1924),三宅鉱一著の責任能力(1930),内村祐之著の精神鑑定(1952)が挙げられる。最近,懸田克躬・中田修・武村信義編の司法精神医学(中山書店,1976)が出された。私はこの全書はわが国の司法精神医学に一時期を画するものであると思う。
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