研究
血小板減少を伴う血液疾患患者の清拭
瀬戸 正子
1
1群馬大学病院看護部
pp.56-62
発行日 1977年1月15日
Published Date 1977/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200476
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1.はじめに
健康時の身体の清潔は主として入浴により保持され,また爽快感を得ることができる。しかし一度健康を害し安静を余儀なくされると,身体の清潔も阻害されやすい。特に血液疾患患者では,感染予防のためにも身体の清潔は欠くことができないが,出血傾向や発熱を伴い入浴不可の指示が出る場合が多い。清拭でさえ症状が悪化するのではないかという不安が,看護者側にも患者側にもあって,「垢では死なない」という言葉に甘んじて実施にふみきれないのが現状である。
血液疾患患者では白血球や血小板減少その他の原因で感染に罹患しやすくかつ出血性素因をみるものが多いので,「できるだけ,摩擦を少なくするため,清拭時に強い力を加えることや,硬いタオルを使用することのないように気をつけ,また施行時は発熱を予防するためすきま風や露出をさける」といった趣旨のことが多くの教科書に書かれているが,はなはだ漠然としており,清拭に関する実際的基準のないことも,その実施をためらわせる原因の一つである。清拭により誘発されるのは皮下点状出血斑である。これらは血小板減少症では特発することがふつうであるし,出血部位で消費される血小板や凝固因子は,点状出血斑にとどまる限りそれらの全身レベルに大きな影響を与えるものとは考え難い。
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