焦点 患者の精神生活にどこまでかかわるか・1
レポート
老人に対する訪問看護の一考察—訪問を待ちのぞんでくれたYさんへの援助
新津 ふみ子
1
1新宿区民健康センター
pp.273-281
発行日 1976年10月15日
Published Date 1976/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200466
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
東京・新宿のはずれにある傾きかけたアパートの3畳に,ひとりで20年来住んでいたある老人が,先日,八王子の老人病院へ入院した。いわゆるボケた,不潔なおばあさんで,近所の嫌われ者だった。初回訪問から3か月半,保健婦とチームを組み,ほとんど毎日の訪問を続ける中で,近所の人達の反応,親戚の反応,そしてそれよりも,70数年生きてきたひとりの人間の反応から,生き続けることの憂いと感動を覚えた。ようすを伺いに行って話し合うことや,近所の人達や,親戚との調整が,おもな援助だったこの事例を通し,老人に対する看護援助の一考察としたい。
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.