焦点 隣接諸科学における基礎的文献
社会学の基礎的文献
北原 龍二
1
1東京教育大学文学部
pp.111-116
発行日 1971年4月15日
Published Date 1971/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200232
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はじめに
社会学は比較的若い学問ではあるが,近年の目ざましい発展の中で,伝統的な領域に加えて多くの新しい研究領域をもちはじめている。ことばをかえれば,これまで他の科学の研究領域としてその科学なりに一定の説明がなされてきた問題に,社会学の方法をもって迫り,新しい解釈や説明,ときには新しい発見を加えようとしているのである。だがこのような拡散的傾向とともに,昔から社会学の定義は社会学者の数だけあると言われるように,社会学の固有の方法や立場はいっそう限定しにくいものとなっている。
さてここでの課題は,社会学をかならずしも専門的に学ぼうとするわけではないが,社会学の成果の中から,広い意味での看護研究に活用しうるものを見いだしたいと思っている人々のために,社会学の文献を解説することと理解されるが,この課題と上記の社会学の傾向とはたやすく接合するものではない。社会学一般と看護研究一般との間には,人間の科学という点で共通の広場があるようでありながら,実はまだ1本の橋すらかけられてはおらず,それどころか橋はますますかけにくくなっている。社会学のどの領域にどういう橋をかけるかの決定が,まず必要なのである。
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