焦点 研究計画のたて方―看護研究の実践のために
1 グループ編成・組織づくり
服部 裕
1
1奈良県立医科大学・第2外科
pp.289-294
発行日 1969年10月15日
Published Date 1969/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200151
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1.専門職と研究
近年,ナースは専門職であり,医師と対等の立場に立って患者の医療に参加すべきであることが強調されている。すでに現時点においてナースはほんとうに専門職としてふさわしい内容の仕事をしているのであろうか。およそ専門職というためには,①素人にまねのできない高度の内容の仕事をしていること,②一生その専門分野についての学・術・道を研究し続けること,③他の職業の補助的業務でないこと,の少なくとも三つの条件を満たしていることが必要である。現在のナースには,いわゆる高度な内容の看護を実践している人が少なく,ほとんど医師の補助的業務に終始しているのが実情であろう。そのうえ,一生自分の専門分野について研究をしていく人など数えるほどしか存在しない。以上,要するに専門職といえるようなナースは,現在の日本にはほとんど存在しないということになる。だからこそ,最近看護研究の必要性が叫ばれ始めているのである。
さて,それではナースが研究活動を行なうに当たって,とくに重大な問題はないであろうか。つまり,ナースであればだれにでも看護研究が可能なのであろうか。この問題を考えるとき,現在の日本のナースの社会の最大の弱点に突き当たり,悲観的にならざるを得ない。すなわち,現在ナースの資格が統一されていないところに問題が存在するのである。
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