総説
看護研究の今日的課題・2
小林 富美栄
1
1東京女子医大付属高等看護学校
pp.108-109
発行日 1968年4月25日
Published Date 1968/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200052
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保健医療活動と看護
医療・保健という実践活動は,"すべての国民の生命を尊重し,健康な生活が営めるようにその権利を保障する"ことが前提となっている。ここで明らかなことは,医療が国民の健康生活の実現に対するはたらきかけをする立場をもっていることである。
医療は長い間,人間が病気をもった時に,その病気の治療,すなわち,"病気の原因の除去あるいは中和をすること,代償的機能の形成,活動を促進すること,病気の器官を休息させること"のはたらきが,単独あるいは複合的になされて,身体的な回復に導くという行為であった。このような病気中心的なはたらきかけが,健康保障の活動に変化してきた。したがって,医療は,健康増進,疾病の予防,疾病時の治療,健康回復という健康のあらゆる段階に対して機能する。現在においては,健康時点と疾病時点を結ぶ中間の段階を含めて,健康から健康破綻の予防は主として保健的機関が,疾病状態から健康回復の過程を含めた状態は主として治療機関が活動し,かつ,これらの連続した活動体系は広く実現しているとはいえない。しかし,個人が健康と疾病とその中間状態を経過することを含めて継続したcareを実践することについての考え方は,保健と医療の総合化として普及されはじめ,実践活動の試みもはじめられている。
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