特集 環境アセスメント
環境アセスメントとその今日的課題
丸田 頼一
1
1千葉大学環境緑地学(園芸学部)
pp.420-422
発行日 1978年7月15日
Published Date 1978/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205632
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はじめに
わが国における昭和30年代から40年代にかけての急速な経済成長には,目を見張るべきものがあったが,その反面,公害問題や環境破壊が顕在化した.政府,地方自治体や企業が30年代においては線的に,40年代以降においては面的に,それらへの対応を試みるようになり,特に産業廃棄物や都市問題に対しての各種の判決が,公害や環境問題を国民の身近なものに化す導火線になってきている.
アメリカにおいては,1962年にレーチェル・カーソン女史の『沈黙の春(Silent Spring)』の発刊により,農薬物の環境上の悪影響が示されるや,全米のベスト・セラーとなり,アメリカ国民の環境問題への関心を呼ぶ結果となった.1963年には,大統領科学諮問委員会科学特別委員会の報告書に,その点が強調され,以後,連邦諸機関も環境保全を前面に打ち出し,大気保全法,水質汚染規制法などの制定,運輸省設置令や国家史跡保存法の改正などにその影響がみられることになる.
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