特集 第19回社会医学研究会総会記録
社会医学の今日的課題
東田 敏夫
1
1関西医科大学公衆衛生
pp.752-753
発行日 1978年12月15日
Published Date 1978/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205725
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■開会に寄せて
「高度経済成長」の必然の結果として,環境破壊・公害等による健康破壊と労働災害が広がった.その後一転して,日本経済はいわゆる構造的不況に落ち込んで行ったが,保健衛生・医療サービスにかかわる矛盾は大きく,これに対する住民の要求が高まってきた.しかし政府・行政側は,国民の健康を守るべき公的責任をあいまいにしたままで,"福祉見直し・高負担論","健康自己責任論"を提唱するとともに,上からの「地域計画」,「システム化構想」,「健康づくり運動」を進める傾向を示している.このような情勢下にあって,労働者,農民,地域住民の健康状態とこれにかかわる社会的諸条件を突き止めるとともに,当面の緊急な課題をめぐって,国民の健康を守るべき公的責任と仕組み,保健医療従事者の役割について,その具体的な事例検討と実践活動に基づく報告と討議により明らかにすることこそ,「社会医学の今日的課題」といえよう.
本年度の社会医学研究会総会の方針について,近畿在住の「企画運営世話人会」を組織し,合議の結果,上述のごとき「社会医学の今日的課題」を踏まえて,「一般課題」の報告を求めるとともに,下記の「シンポジウム」と「要望課題」による集中討議を行なうこととし,会員に呼びかけた結果,おおむね所期のプログラを編成することができた.
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