特集 看護ケアプログラムの体系化に向けて─看護研究と行動分析学
「看護すること(nursing)」を支援する学としての行動分析学—随伴性のアレンジによる行動変容
坂上 貴之
1
1慶應義塾大学文学部
キーワード:
行動分析学
,
行動変容
,
随伴性
,
オペラント行動
Keyword:
行動分析学
,
行動変容
,
随伴性
,
オペラント行動
pp.506-520
発行日 2014年10月15日
Published Date 2014/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200004
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A. 「看護すること」とはどんな行為なのか
本稿では,「看護すること(nursing)」を支援する学としての行動分析学の基本的考え方と,この考え方に基づくいくつかの技法を紹介する。看護することは人間の健康に関するケアと深くかかわっているが,健康やケアという用語はさまざまな意味をもち,曖昧なまま多くの人々に受容されてきたので,看護すること自体もなかなか定義しにくい用語となっている。
人の生命維持や社会とかかわる諸活動が阻害されると,私たちはその原因を取り除いて元の状態へと戻そうとする。そのときに人の内部的な原因にもっぱら注目するのが,医療的行為一般の姿であろう。看護することは,人の内部的原因を直接取り除くことを援助するだけでなく,諸活動が阻害された前後の期間,すなわち健康の予防や回復に結びつくような期間においても,その人を取り巻く外部的な状況を変化させることで,健康にかかわる要因に働きかけているようにみえる。
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