特別記事
災害看護におけるグローバルリーダーの輩出に向けて―国際誌『HEDN』創刊の意義
坂下 玲子
1
1兵庫県立大学大学院看護学研究科
キーワード:
災害看護
,
グローバルリーダー
,
DNGL
,
『HEDN』
,
リサーチコミュニティ
Keyword:
災害看護
,
グローバルリーダー
,
DNGL
,
『HEDN』
,
リサーチコミュニティ
pp.440-448
発行日 2014年8月15日
Published Date 2014/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100952
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災害看護グローバルリーダーの必要性
災害の現場において,看護職は常にフロントラインに立ち,人々の支援を行なってきた(Wall & Keeling, 2010)。全世界には約1930万人の看護職がいる。もし看護職が,防災や災害看護の知識や技術を十分に身につけたら,社会の安全・安心にとって,計りしれない力になる(Minami, 2014)。日本看護協会は災害を,「自然災害や人災と呼ばれる,不測のときに,多くの人々の生命や健康が著しく脅かされる状況であり,地震や火災などによる一次的な被害だけでなく,二次的な生命・健康への脅威を含む」と定義しているが,いま,世界各地で繰り返し起こる自然災害,紛争やテロ,感染症の蔓延などによって,人々の生命や健康が脅かされている。特に近年,グローバルウォーミングなどの自然環境の変化,人口の高齢化や都市への人口流入などの社会の変化も影響し,災害は多様化,長期化,グローバル化し,人々の生命・生活にますます深刻な影響を及ぼしている。
災害サイクルは,急性期(発災直後~48時間),亜急性期(~1か月),中長期(~数か月~数年),静穏期に分けられているが,健康問題と療養生活支援に専門性をもつ看護職は,そのような災害サイクルすべてにわたり,人々の健康と生活を支えてきた。被災地において,自分が被災しているにもかかわらず,患者や被災者のケアに全力を尽くす看護職,被災地に駆けつけボランティア活動を展開する看護職など,災害時の救助や支援活動を担った看護職は数えきれない。
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