書評
分析の足跡がわかる,身につく自習書
坂下 玲子
1
1兵庫県立大学看護学部
pp.363
発行日 2014年7月15日
Published Date 2014/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100936
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「患者さんの思いを知りたい」─誰もが一度ならず,そう思ったであろう。「自分が行なっている看護はどのような意味があるのか」と悩んだことだろう。それを解決するために,質的研究は強力な手段となる。しかし,多くの人は日常の業務に忙殺され,問うことすらあきらめてしまう。そんなことではいけないと一念発起し,患者さんにインタビューをしてみるものの,どう分析していったらよいのかわからないと困っておられる方もまた多いであろう。
しばしば私が相談を受ける臨床看護研究では,それらのリサーチ・クエスションを解くために質的研究が第一選択となることが多い。しかし質的研究(量的研究も同様だが)を,トレーニングを受けず自己流で行なうのは,羅針盤をもたずに大海にこぎ出すのに等しく,安易に勧めることを躊躇してきた。これまでに質的研究の解説書は数多く出版されてきたが,初心者でも独学で学べるように考えられた自習書といえば,著者らの本であろう。本書は『グラウンデッド・セオリー・アプローチ実践ワークブック』の改訂版にあたり,観察法を用いたデータの分析を加えるなど,初版から大幅に改良された。
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