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はじめに
地域におけるチーム医療
療養者と家族が住み慣れた自宅や地域で安心して暮らすためには,多様な医療や介護のニーズを生活につなげられるよう,高い専門性をもつ多職種によるチームの存在が必要不可欠である。このチーム医療は,昨今の医療の質や安全性の向上および高度化・複雑化に伴う業務の増大に対応するため,さまざまな医療現場で実践されており(厚労省,2012),現代の医療を語る上での大切なキーワードの1つとなっている。
近年,医療施設においては,栄養サポートチーム(nutrision support team ; NST)の活動が注目され,患者に対して適切な栄養管理を行なう医師や管理栄養士,看護師,薬剤師などによるチームの存在が評価されている(東口,2005)。それには,病院機能評価機構の評価項目にNSTの設置が含まれていること,2006年に病院の診療報酬に栄養管理実施加算が加わったことが大きく影響している。さらに,NST導入による治療効果の向上や経済効果に重要な役割を果たすという事実が国内外の病院施設の調査から示されている(Senkal,Dormann,Stehle,Shang,& Suchner,2002;大槍,篠崎,米川,2004;Shang,Hasenberg,Schlegel,Sterchi,& Schind,2005;Dibaise & Scolapio,2007)。
在宅医療の場においては,施設や事業所の枠を取り払ったNST,すなわち地域一体型NSTと呼ばれるチームが療養者の栄養管理に貢献することが期待されている(望月,2009;小川,綿谷,河崎,2010;若林,2010)。しかし,地域で活動する管理栄養士が少ないことや,診療報酬での評価の未整備などの理由で普及せず,地域での栄養サポートは療養者・家族,加えて医療従事者自体にもあまり知られていないのが現状である。
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