特集 認知症の当事者研究のために─老年看護学の視座を拓く
認知症の本人と共に生きるケアの実践―センター方式の取り組みを中心に
櫻井 記子
1
1社会福祉法人JA長野会特別養護老人ホームローマンうえだ
キーワード:
本人の声
,
センター方式
,
人材育成
,
ケアのひろがり
Keyword:
本人の声
,
センター方式
,
人材育成
,
ケアのひろがり
pp.286-293
発行日 2013年6月15日
Published Date 2013/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100785
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はじめに
認知症の人の尊厳を支え,認知症の人が地域で安心して暮らし続ける支援に向けてさまざまな取り組みが展開されている。しかし,日常の生活支援において,認知症の人の本人主体というケアの理念(長谷川,2011)をケア現場に位置づけ,実践していくことは容易ではない。
2002年,特別養護老人ホーム(以下,特養)に勤務することになった私は,ケアプラン立案のためのアセスメントは認知症の人の状態を捉えにくい(時田,2005,p.7)という問題に直面した。しばらくして,開発段階の「認知症の人のためのケアマネジメントセンター方式(以下,センター方式)」に出会い,それが,本人主体のケアマネジメントによるパーソン・センタード・ケアを導き,根拠に基づいたケアを引き出す道具であることを知った(本間ら,2004;時田,2011,pp.60-67, pp.86-87)。
その後,さまざまな実践や記録,検証を積み重ねてきたが,本稿ではそれらを振り返り,「認知症になりながら暮らしている当事者」である本人の声を出発点にして(時田,2011,p.18),本人がよりよく暮らすための支援を導くことの可能性と意義について検討する。
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