特集 看護学における事例研究法─新たな研究デザインへの可能性
【看護実践における事例研究】事例研究の実際
2.2病院に通院する複合疾患患者の心不全のコントロールと生活調整
仲村 直子
1
1神戸市立医療センター中央市民病院看護部
キーワード:
慢性心不全
,
糖尿病
,
複合疾患
,
生活調整
,
地域
Keyword:
慢性心不全
,
糖尿病
,
複合疾患
,
生活調整
,
地域
pp.163-168
発行日 2013年4月15日
Published Date 2013/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100762
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
背景
糖尿病,虚血性心疾患などの複数の病気を併せ持つ慢性疾患患者が増加してきている。また日本では,国民医療費の増大に対し,医療機関の機能分化と連携により医療の質を高めていくことを目的に,医療の役割分担が進められている(厚生労働省医政局,2005)。
また総合病院内でも,診療科の専門分化が進んでいる。そのため,複合疾患をもつ慢性病患者は,病院間,診療科間を渡り歩き,各診療科の医師にさまざまな治療・療養法を指示されることになる。患者は指示された療養法の中から自分でやれることを選択して,生活に取り入れていくことを求められるが,これは容易なことではない。ときにはまったく反対の療養法を指示されることがあるからである。Strauss(1984)は,慢性疾患患者の療養上の仕事として,療養法の実践,生活の常態化,病気の過程に生じる変化への対応などをあげているが,2つ以上の病気をコントロールするということは,これらの療養上の仕事がより複雑に,困難になるということを意味していると考えられる。慢性疾患患者がこのように複雑になった療養法をどのように行なっているのかと,筆者は疑問に感じていた。
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.