特集 看護学における事例研究法─新たな研究デザインへの可能性
【看護実践における事例研究】事例研究の実際
1.看護実践者が行なう事例研究の一試案―糖尿病看護における待つ看護の検討
東 めぐみ
1,2
1駿河台日本大学病院看護部
2日本赤十字看護大学
キーワード:
事例研究
,
事例報告
,
看護実践
,
糖尿病看護
,
待つ
Keyword:
事例研究
,
事例報告
,
看護実践
,
糖尿病看護
,
待つ
pp.154-162
発行日 2013年4月15日
Published Date 2013/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100761
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はじめに
「看護はSCIENCEでありARTである」というナイチンゲールの言葉に支えられて,私はこれまで看護師として実践を行なってきた。また,一方で,「看護はSCIENCEでありARTである」ということはどういうことかとの問いを,自分に問いかけながら実践してきたともいえる。
看護実践者として自己の実践事例を事例研究に仕立てることは,これまで学んできた既存知を活用しつつ,実践で培ってきた知識を明らかにする意味において,大変重要なことだと考えてきた。それは,事例研究を1つの根拠として,何気なく行なっている実践を意図的に行なうことにつながり,看護の質の改善につながるのではないかという期待をもっているからである。
事例研究は,「個人・家族・集団,施設,コミュニテイー,その他の社会単位といった,単一の存在や少数の存在についての徹底的な調査研究」(Polit & Beck/近藤監訳,2010,pp.265-266)であり,「厳密な研究がなされていない現象を探索するのに有用」であり,「概念を明確化したり,概念を把握する方法を明らかにする重要な役割を果たす」ことをめざしている。しかし,事例研究は研究の歴史的背景において明確な位置づけが得られないまま,現在に至っている。
本稿では,看護実践者として,自己の実践事例を事例研究としてまとめあげるプロセスを紹介し,事例研究の可能性を検討してみたい。
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