特集 看護学における事例研究法─新たな研究デザインへの可能性
【看護実践における事例研究】事例報告から事例研究へつなぐプロセス
1.研究課題の明確化
伊波 早苗
1
1滋賀医科大学医学部附属病院
キーワード:
事例研究
,
事例報告
,
リサーチ・クエスチョン
,
自尊感情
,
スティグマ
Keyword:
事例研究
,
事例報告
,
リサーチ・クエスチョン
,
自尊感情
,
スティグマ
pp.135-145
発行日 2013年4月15日
Published Date 2013/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100759
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事例報告を事例研究に
事例を検討・分析する方法には,事例検討や事例報告,事例研究が存在する。事例検討は,カンファレンスや病棟会などの場で事例に還元することを主な目的に行なわれる。事例報告は,教育場面などで実践を通した学びを深めるために行なわれたり,質の高い実践を伝えるために行なわれる。事例研究は,現象および実践を明らかにするために,個別性の記述,理論の構築,仮説の検証,過程の記述をし(岩崎,2007),広く発表される。
事例報告は,分析過程での視点が不明瞭で,結果に至った理由や根拠も不明瞭なために,特定の場を離れた別の場では応用しにくいという限界が指摘されている(島内,1980)。一方,事例研究は,研究の焦点が絞られ,研究課題に基づいた方法で分析され結果が導き出されるため,集積可能であり,実践知を生み出すことができる可能性をもつ。そのため,実践知を集積するためには,事例検討を行なった事例や,事例報告を行なった事例を,事例研究として記述し直すことが奨められる。
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