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はじめに
近年の看護の現場は極めて多忙になっている。その背景には,少子高齢社会や医療財政の逼迫などによって,保健医療福祉制度の変革がされてきていることがある。その他に,高度情報化社会によって,病院の電子カルテシステムを中心にIT化が急速に進んできたこともある。また,それらの社会的な変化に対応して看護の機能拡大がなされ,看護の需要を高めていったことも,看護職の偏在をもたらした。そのことによって,看護師不足による多忙さに苦しんでいる病院もある。
近年の看護マネジメントの課題は,病院経営が優先されて入院期間の短縮,病床稼働率の上昇,退院調整の厳密化が求められている一方で,病院のIT化が加速している現実の中で,看護の質を維持しながら,看護師にとって働きやすい職場をいかにつくるかである。入院期間の短縮は,入院直後,むしろ入院前から退院に向けたケアが求められることを意味する。すなわち,短期間に回復し退院できる状態への変化をもたらすケア,退院後にセルフケアができる状態へと回復を促すケアが求められるということである。そのため,専門看護師や認定看護師などの看護のスペシャリストを交えたチームケアや,他職種を交えたチーム医療が不可欠になっている。
病床稼働率の上昇,入院期間の短縮は病棟編成に大きく影響し,疾病や治療が大きく異なる患者の混在をもたらしている。そのことは,看護の質の維持を困難にする要件であり,看護マネジメントの力が大きく問われる状況であるといえよう。言い換えれば,今日の医療の状況下において看護の質を維持し,看護師に働きやすい職場を提供することにおいては,看護マネジメントの力が大きく左右していると言っても過言ではないだろう。
そうした近年の看護マネジメントの課題への対応策は,ケアリングを中核に置くことである。
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