連載 看護研究の基礎 意義ある研究のためのヒント・第9回
量的研究─分析の基礎(前編)―Quantitative Data Analysis(the first part)
坂下 玲子
1
1兵庫県立大学看護学部
pp.286-296
発行日 2012年6月15日
Published Date 2012/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100658
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量的研究は,計画の段階で念密な分析計画が立てられる必要がある。「取れるデータを取ってきたのですが,どうしましょう」というのは学問的には言うまでもなく,協力してくださった方々に対しても大変失礼な話である。何度も述べるが,研究において最も重要なのはResearch Questionであり,そのResearch Questionを解くべく研究が実施される。以前にも述べたが,研究とは概念間の関係性を解明するものであり,量的研究では,概念を具現化するため操作的指標が設定される(坂下,2011)。すなわち概念を数値で表わすという操作が行なわれる。例えばQOL(quality of file)を示す指標としてSF-36(Fukuhara, 2004)を設定し,QOLという概念が数量化される(もちろん,その段階で概念と指標の間にはズレが生じる可能性があり,慎重な吟味が必要だが)。結果の内容が想定できない質的研究と違い,量的研究では変数が研究者によって設定され,どのような性格(例えば順序尺度とか)のデータが得られるかはあらかじめわかっている。だから,計画の段階で,結果で示す表の枠組みができ,後は数値を入れるばかりにしておくことができる。
今回の「分析の基礎」は1回の予定であったが,長くなってしまったので前後編とし,今回はデータの吟味,記述統計に関して説明し,次回は,研究デザインごとに分析方法を説明する。
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