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論文であれ,エッセイであれ,どのような読みものでも,自分の文章が活字になって発表されるのは,半分嬉しく,そして,半分怖いものである。嬉しくなるのは,自分の考えや発見が多少なりとも読者の参考になり,読者から好意的なことばをいただいたときである。怖いというのは,自分の書いたことがどのように受け取られただろうか,真意を伝えることができただろうか,間違ったことを書きはしなかっただろうか,誤って人を揶揄したり傷つけたりする書き方をしなかっただろうか,などといった心配,というか不安な気持ちになることである。
「出版する(publish)」とは「公のもの(public)にする」ことであるから,出版されたものが人の目に触れ,何かしら間違いを指摘されたり,多少なりとも批判をいただくのは当然のことである。もちろん,その指摘が有益なものであり,批判も建設的なものであれば,著者としても反省材料や参考資料になり,自分自身のステップアップにもつながる。まして,感謝のメッセージや応援のエールはとても励みになる。どのようなものであれ,読者からの反響は著者にとって力となり,書く元気を与えてくれるものだ。
本連載の趣旨は,いろいろなキーワードをテーマにして,日頃の研究や思索,そして学問について私が考えていることを,看護研究に限らない幅広い視点からお話しすることである。「お話しする」と言っても,座談や鼎談のような形をとってはいない。しかし理想を言えば,一方通行ではなく読者との「対話(dialogue)」,あるいは「会話(conversation)」をめざしたいと思っている。そこで,読者の皆さんからの「声」をいただければ本当に幸いである。
といったようなことを思っていたら,読者の1人から前稿の内容について,とても興味深くかつ示唆に富むコメントをいただいた。今回は,そのご質問に答えるかたちで進めてみようと思う。
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