連載 病院経営分析の技術 経営改善のための分析ツール活用講座・3
診療圏分析〈前編〉
池田 吉成
1
1監査法人トーマツコンサルタント
pp.1026-1029
発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100138
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前回(本誌10月号,11月号)ご紹介した病院経営指標分析の結果などにより,自病院の患者数が少ないことがわかったとします.その次は,いったいその原因はどこにあるのかという,さらに深堀りするための分析を行わなければなりません.単に自病院の評判が良くないということがあるかもしれませんが,そもそも周辺地域には患者がいない,ということも考えられます.そういったことを確認するためには,患者分析を行う必要があります.
二つの患者分析ツール
患者分析には,皆様がよくご存知の患者満足度調査分析や診療圏分析という2つの代表的なものがあります.
このうち患者満足度調査分析は自病院という個別の患者に対して,その満足度を上げるポイントを把握することが目的です.また,この結果次第では将来の自病院患者がどうなりそうか(増えるのか,減るのか)ということがある程度わかるでしょう.
他方,診療圏分析は自病院以外の患者も含めた全体的な患者構造がどのようになっているかを把握するために行います.つまり,現在の患者ニーズ(患者が望む医療サービス)は何か,そして自病院と他医療機関との関係がどうなっているかを知り,今後の経営を考えていく指針とするものです.
患者満足度調査分析の実施方法は本誌2005年2月号でご紹介しました1).そこで,今回および次回の2回にわたり,もう一方の患者分析である診療圏分析の実施方法について解説してゆきたいと思います.
ただし,この診療圏分析はかなり細かな作業になります.そこで,実際の解説に入る前に,自病院に来院される患者構造について大まかな概念からお話しします.
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