焦点 translational researchとしての小児の疼痛緩和方法の開発
translational researchとしての小児の疼痛緩和方法の開発―研究の積み重ねの概要
片田 範子
1
1兵庫県立大学看護学部
キーワード:
translational research
,
小児看護専門看護師
,
小児のがん性疼痛
,
緩和ケア
,
臨床-研究連携
Keyword:
translational research
,
小児看護専門看護師
,
小児のがん性疼痛
,
緩和ケア
,
臨床-研究連携
pp.387-396
発行日 2009年10月15日
Published Date 2009/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100389
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はじめに─研究者のこだわり
「我慢」から「痛み」との出会い
看護研究の多くは,臨床にあるタネとなる「気になる現象」から,それが臨床において重要な課題となるかどうかを丁寧に見極めることから始まる。筆者が「痛み」の研究(痛み研究)に取りかかったことも,研究者として「子どもの我慢」(katada,1990)の現象にこだわり,入院状況のなかで子どもたちが好まない出来事に多く遭遇し,それを受け入れ,自分なりに状況をコントロールしていくプロセスを研究しはじめたことに原点がある。幼児期の子どもたちが,さまざまな出来事に対して,大人が思う以上に主体的に取り組んでいることが,この研究を通しての,研究者の基本的姿勢となった。また,広末の研究(1999)に示された,子どもの訴える痛みの解決方法には,子どもなりの経験があり,理解があるということを看護師が意識化することが,子どもとの相互作用において重要なこととして意識づけられた。「痛みを緩和しようとする看護ケアは,痛みを有する子どもたちの努力を正確に捉え,対応しきれているのだろうか」ということが,痛み研究の最初の研究課題である。また同時期に,厚生省(当時)看護対策総合研究事業として行なわれた「看護ケアの質の評価基準に関する研究」において,看護ケアの質を保証する看護技術の構成要素の抽出(片田ら,1996)を,デルファイ法を用いて行なった結果,9要素が抽出され,「痛みの緩和」がその1つであった。臨床のなかで「痛みの緩和」が看護の重要課題であることが示唆され,方向性が見えはじめた時期である。
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