整形トピックス
脊椎外科のtranslational research
國府田 正雄
1
1筑波大学整形外科
pp.146-146
発行日 2024年2月1日
Published Date 2024/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei75_146
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Translational research(TR)とは,基礎研究の優れた成果を新しい医薬品や医療機器などの開発につなげることを目的として行う,基礎研究から臨床現場への「橋渡し研究」を意味する.すなわち新しい医療を開発し,臨床の場で試用してその有効性と安全性を確認し,日常医療へ応用していくまでの一連の研究過程をさす.対をなす言葉としてreverse translational research(rTR)がある.これは臨床の場で実際に患者がどのような症状を呈しているのか,どのように困っているかなどといった視点から研究を行うことで実臨床に応用のできる結果を導き出す,実用的な研究手法である.簡単には,TRはbench to bedsideで,rTRはbedside to benchと言い換えることができる.基礎研究で得られた発見をTRを通じて診断や治療に結びつけ,そこで生み出された新規診断法や新薬の臨床現場における問題点や疑問点をrTRで基礎研究にフィードバックするという,いわば車の両輪をうまく回していくことで医学・医療の発展につながることが期待される.
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