焦点 translational researchとしての小児の疼痛緩和方法の開発
扉
片田 範子
1
1兵庫県立大学看護学部
pp.386
発行日 2009年10月15日
Published Date 2009/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100388
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看護の知識の積み重ねは,それがサービスに貢献されて初めて,生きた知識となることが多い。translational researchは,医学研究の領域で,基礎研究の成果をいかに臨床に役立たせるかという発想で多く用いられ,近年重要性が増している(http://nihroadmap.nih.gov/clinicalresearch/overview-translational.asp)。
筆者がこの概念を初めて目にしたのは,2002(平成14)年の日本看護科学学会におけるWilliam Holzemer 博士による教育講演であった。臨床の知識と教育・研究の知識のギャップについては長くいわれ続け,研究を臨床にどのように根付かせていくかは,ブラックボックスのようなものであった。研究者は,結果を出した時点で,臨床への応用・活用を考察するが,それが現実にどのように導入に至るのかというステップが見極められず,抽象レベルあるいは特殊な事例として結果を示すことになる。臨床はさまざまな現実のなかにあり,常に微妙な調整とともに存在する。臨床についての感受性をもつ仲介者の存在によって,知識が使えるものとなり,臨床現場のニーズや勤務状態,共同する人々の役割などへの対応が容易になる。
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