特別記事
1事例の質的研究でも科学的か?―質的研究による少数例の科学的エビデンス―第28回日本看護科学学会学術集会/(株)医学書院共催ランチョンセミナーより
髙木 廣文
1
,
萱間 真美
2
1東邦大学医学部看護学科
2聖路加看護大学
pp.131-143
発行日 2009年4月15日
Published Date 2009/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100362
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
はじめに
髙木 本日は「1事例の質的研究でも科学的か?」という,少し挑戦的なテーマでお話します。つまり少数例の質的研究に科学的エビデンスはあるのか,というお話です。
ポイントは2つあります。科学的なエビデンスとして研究結果を一般化する場合,やはり「科学とは何か?」という問題提起がなければ,科学的といえません。ですから,まず科学とはどういうものかを,構造主義科学論という考え方に基づいてお話したいと思います。これが第1点です。
第2点は,質的研究のテクスト解釈という大きな問題です。どんな研究でも,最終的には言語で何かを書かなければいけません。論文でも報告でも,また記述に用いる言語が日本語であれ英語であれ,まずテクストをつくり,それを解釈して自分が興味のある現象について説明を行なうことになりますね。そのときのテクスト解釈について「これは客観的に解釈できるのか?」ということが常に問題になってきます。
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.