特集 医療現場で「わかりあう」ための原理 構造構成主義の可能性
質的研究は科学としてエビデンスをもたらすか
高木 廣文
1
1東邦大学医学部看護学科
pp.712-715
発行日 2007年8月1日
Published Date 2007/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101051
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はじめに
量的研究は客観的実証主義,質的研究は社会構築主義などの相互に異なる認識論を基盤とするため,普通に考えると両者の間で相互了解に至るのは困難である.そのような主観―客観問題による信念対立を克服するためのメタ理論として,西條は構造構成主義を提唱し1),量的研究と質的研究の信念対立の問題は,研究目的に応じて関心相関的に研究手法を選ぶことで解決可能である1,2,3)と述べている.しかし,質的研究のテクスト解釈の妥当性の問題や,研究結果が科学的エビデンスになるのかという疑問については,それだけでは解消されない.
ここでは,まず量的研究と質的研究を現象学的に捉え直し,構造主義科学論4,5)における科学の定義からみて,それらが同一の基盤に立っていることを説明し,次に言語解釈の問題を考察したうえで,最後に質的研究の科学的エビデンス性について考えてみたい.
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