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はじめに
博士号取得をめざしていらっしゃる皆様方に何をお伝えしようかとあれこれ考えたのですが,結局,私が博士論文作成過程で取り組みました「記述研究にもとづいた実践的研究」についてお話させていただくことにいたしました。
ここでいう実践的研究とは,根拠にもとづいた看護実践指針を作成し,それにもとづく援助を実施し,得られた資料を分析することで,作成した看護実践指針を精選して,より現実に適用できる指針に高めることを指しています。広い意味では介入研究といえるのかもしれません。
なぜ,このようなお話をしようと考えたのかについて少し説明いたします。
私は「実践こそ大切」「よき実践のために教育も研究も在る」を自分の哲学とし,大学に身を置く者として教育・研究・実践に取り組んでおります。「実践こそ大切」「よき実践のために教育も研究も在る」を実現させるために,大学においては学部生への臨床実習指導に力を注ぐと同時に,学外においては学長からの兼業許可を得て土曜日だけは地域医療を担うクリニックで看護師として活動し続けています。そして実習においてもクリニックにおいても,自分の研究結果はもちろんのこと,先行研究の結果を患者さんに意識的に適用し,適用した結果から研究結果そのものの評価を試みる,そのようなことに取り組んでおります。
要は「実践こそ大切」「よき実践のために教育も研究も在る」のフレーズを,今自分が立っている現実のなかで精一杯具現化しようとしている,ということです。このように,私自身がよき実践をめざすことに強くこだわっておりますので,エビデンスに裏づけられた看護援助のありかたを提示する実践的研究についてお話ししてみたいと考えたのです。
またタイトルに「挑戦」という文字を使ったのは,実践的研究とはいうものの博士論文に取り組んだ時には実際にどのように行なったらよいかわからず,指導を受けつつ自分自身も試行錯誤しながらはじめて取り組んだ研究だったからです。ですから立派なお手本をお示しできるわけもないのですが,これから博士号取得に取り組まれます皆様方にとってなんらかの参考になれば幸いです,という気持ちでお話しようと思います。
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