特集 慢性看護学における事例研究法の進展
3論文を作成する—分析と記述
事例研究論文作成のプロセスにおける分析と記述
伊波 早苗
1
,
東 めぐみ
2
,
木下 幸代
3,4
,
内田 雅子
5
1社会医療法人誠光会淡海医療センター
2順天堂大学保健看護学部
3聖隷クリストファー大学
4山梨県立大学大学院看護学研究科
5高知県立大学看護学部
pp.517-523
発行日 2023年12月15日
Published Date 2023/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681202146
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事例の分析方法と結果の記述方法
本稿では,事例研究論文作成のプロセスのうち,事例の分析方法および結果の記述方法について解説する。事例研究は,データ収集方法や分析方法に明確な法則性がない。そこで,ここでは,どういう視点で分析をするのか,どのようにデータを記述するのか,という分析のプロセスの方法論について検討したい。川島(1980)は事例研究を,「観察・経験した個々の事象を記述し,その事象を反映する母集団に共通な事項を見出して,必然的に導き出される法則性を明らかにする研究」であるとしている。この中の,事象の記述をどのようにするのか,どのように法則性を明らかにするのかという点を検討していく。
また,事例研究における分析では,データの解釈が客観的でないという批判もある。他の質的研究と同様に,客観性・妥当性を確保するために,グループで分析をしたり,スーパーバイズを得たりする方法などがあるが,その点についても後述する。
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