焦点 博士課程院生のための研究法特別講義
[研究の実際]
エスノグラフィーを用いて質的看護研究を行なう―研究理念と研究方法の概要
水野 道代
1
1筑波大学大学院人間総合科学研究科
pp.223-238
発行日 2007年5月15日
Published Date 2007/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100239
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質的研究とは
最初に,私が質的研究というものをどのように捉えているかをお話したいと思います。質的研究において特徴的なことは,研究過程で得たデータを研究者自身の解釈によって分析していくことだと思います。この解釈によって得るものは,意味・関係・理解・特徴・属性・パターン・境界といったものです。これらを得るために質的研究をしていくわけです。また,質的研究においてはプロセスそのものが結果であったりします。このことは質的研究の方法を説明することによって後ほど再確認されるでしょう。
看護において質的研究がなされることの意義は,状況を巻き込みながら対象を理解できることにあります。質的研究によって私たちは,看護現象の意味を記述したり,意味と意味との関係を全体として捉えることにより,その構造を説明したりします。質的研究においては事実や現象をありのままに捉えることが重要であるため,ありのままに捉えることが質的研究そのものであるかのようないい方をされることがあります。しかし,研究といわれるからには,加えて,事実がもつ一般性が結果として,あるいはプロセスとしてほしくなります。
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