研究ノート
参与観察者のコミットメント―『生命倫理をみつめて―医療社会学者の半世紀』を読んで
萱間 真美
1
1東京大学大学院医学系研究科精神看護学分野
pp.257-261
発行日 2003年6月1日
Published Date 2003/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100198
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『生命倫理をみつめて―医療社会学者の半世紀』は,1人の医療社会学者が半世紀の間,さまざまな医療の現場で「生命倫理とは何か」をみつめ続けた参与観察の軌跡をまとめた記録である。本の帯には,「つねに参与観察者として現場にあった女性が語る医療社会の真実」とあり,さらにそれより大きな活字で「参与観察者の視点」とある。これは,実に見事にこの本の本質,ひいては著者の存在の本質を表現したことばであると思う。著者は一貫して自身を「生命倫理学者ではない社会学者」として位置づけ,そして「生命倫理学を参与観察し続ける」役割をみずからに課し続けているからである。
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