特集 助産師のためのLGBTQ+/SOGI入門
LGBTIQA+の性被害の実態
岡田 実穂
1
1一般社団法人Broken Rainbow-japan
pp.431-435
発行日 2024年10月25日
Published Date 2024/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665202337
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2014年「性犯罪にかかる刑法改正」議論が湧き起こり,110年来続いてきた強姦罪の定義を性犯罪の現実に即したものに変えていくために多くの性暴力サバイバーたちや支援者の人たちが動きだした。それまで強姦罪においては被害者を女性に限定し,なおかつ強制性を持って腟に陰茎を挿入する行為のみを強姦としてきた。私たちはこの定義の変更を一貫して求めた。中核となる要望は,日本の強姦=レイプの定義を,国際基準に照らし合わせ,「陰茎,その他の身体部位または物による外陰部または肛門への物の強制的な挿入行為」1)というWHOによる定義と同一のものにすることだった。
2009年にBroken Rainbow-japanの前身となるレイプクライシス・ネットワークという当事者団体を立ち上げてから,性暴力に関係する語りから,どのようにすれば固定的なジェンダー表現を減らしていけるだろうかと考えてきた。当たり前のように被害者を女性,加害者を男性として表現するあり方に,私自身一人の性暴力サバイバーとして違和感が多くあった。レズビアンとしての私の周囲には,さまざまな性のありようを生きる友人たちがいた。さまざまなSOGIESC(性自認,性的指向,性表現,性的特徴)を持つ人から,自らの性被害に関する経験を聞いていた。被害者支援に関わっていても「ここで話されていることの中に,自分たちは想定されていない」と感じることが非常に多くあった。自分のことが想定されていない,そう感じる場所で被害について語り,助けを求めることは難しい。誰もが助けを求めれば助けを得られる社会にしていくためにはどうしたらいいのだろうかと活動を通してずっと考えてきた。
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