特集 性暴力被害者の支援—看護婦だからできること
日本における性暴力被害—看護の現場からみえる実態
片岡 弥恵子
1
1聖路加看護大学大学院博士課程
pp.1005-1008
発行日 2001年11月1日
Published Date 2001/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903845
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「性暴力被害」.この重くて深いテーマに私が取り組むきっかけとなったのは,臨床で助産婦をしていたときの1つの経験であった.随分前の話になるが,臨床経験の浅い新米助産婦であった私が,レイプの被害にあった女性のケアを担当した.そのころ私は,性暴力被害についてまったく無知であったが,傷ついた女性の姿,それに対する医師の反応,同行した警察官の態度が今でも頭に焼き付いている.ケア提供者としてなにもできなかった自分の無力感に打ちのめされ,なによりも同じ女性としての自分自身が強く揺さぶられた体験であった.怒りと恐怖という強い感情が,その後も長期にわたって私の心に残された,私はこのときはじめて,この社会のなかで確実に存在するがなりをひそめている「性暴力」に直面したのかもしれない.
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