特集 データでみる「助産所のお産」 嘱託医療機関との連携で実現する安全性と継続性
—7.移行症例の検討④—ART後の40歳以上の高齢初産—助産所はハイリスク妊婦を医療機関に紹介し,正常妊婦のみを扱うようにすべきか?
ハンズの会
1
1医療法人社団均禮会 府中の森 土屋産婦人科
pp.60-63
発行日 2024年2月25日
Published Date 2024/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665202245
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嘱託医師の視点
助産所管理の妊娠・分娩では,非常時の周産期異常に対して,直ちに医師による診断,医療介入はできません。そのため,妊産婦のリスクを予め分析し,慎重に準備しておく必要があります。しかし,リスク管理に選択肢が2つ以上あり,経過をみないと分からない症例も多々あります。助産所は,協働的意思決定(shared decision making:SDM)の立場から,まずは生理的な正常分娩の可能性を考えます。
近年,ART(Assisted Reproductive Technology)後の妊娠で助産所分娩を希望する人が増えています[図]。ART後は周産期異常から移行になるリスクは高いです[オッズ比:3.90(95%CI:2.33-6.52)[表]]。この症例のように,妊娠初期リスクが高くても妊婦の意思は尊重します。ただし,妊娠後期に羊水過少,胎児胎盤機能不全などのリスクが加わる場合は,嘱託医師(以下,嘱託医)管理への移行を勧めます。
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