特集 データでみる「助産所のお産」 嘱託医療機関との連携で実現する安全性と継続性
—7.移行症例の検討①—NRFSにて緊急母体搬送—妊婦のリスクを早期に発見し,医師による診断と治療にゆだねる
ハンズの会
1
1医療法人社団均禮会 府中の森 土屋産婦人科
pp.44-49
発行日 2024年2月25日
Published Date 2024/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665202242
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
嘱託医師の視点
助産所で分娩を扱うためには,胎児健常性の確認,胎児ジストレス・新生児仮死への対応は最重要課題です。医療連携では,原因となりうる分娩前の胎児機能の評価,胎児発育の異常,羊水過少にあらかじめ注意します。そして,胎盤機能として胎盤・臍帯の付着位置など胎児付属物の所見は,超音波を用いた嘱託医師(以下,嘱託医)の健康診査で確認します。胎児健常性が確認できれば,生理的な陣痛の発来を妊娠42週まで待機します。後期正期産である妊娠41週の胎児胎盤機能の評価は重要です。分娩期の胎児機能の評価は胎児心拍モニタリング(CTG)に大きく依存します。助産所でCTG所見がレベル3を認めれば,嘱託医に連絡して,搬送のタイミングを考えます。しかし,分娩期にレベル3を呈した移行症例92例に対して,新生児仮死の診断は7例(7.6%)と特異度は低いのが現状です[図]。
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.