実践報告
愛育病院の無痛分娩—助産師の無痛分娩への関わり方を考える
今井 晶子
1
,
萩原 和歌子
2
1社会福祉法人恩賜財団母子愛育会 総合母子保健センター 愛育病院
2社会福祉法人恩賜財団母子愛育会 総合母子保健センター 愛育病院 麻酔科
pp.442-448
発行日 2022年8月25日
Published Date 2022/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665202046
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はじめに
社会福祉法人恩賜財団母子愛育会 総合母子保健センター 愛育病院(以下,当院)は東京都港区に位置している総合周産期母子医療センターである。「母と子の幸せとすこやかな子どもの成育のため,質の高い医療を提供し,安全で快適な妊娠・出産・育児を支援する」という理念のもとに,「第一に安全であること,かつ妊産婦にとって満足のいく出産になること」が重要であると考え支援している。
当院での分娩件数と無痛分娩数の推移について[図1]に示した。当院では1980年代より無痛分娩を行っている。2010年には麻酔科医師が常勤となり,無痛分娩の体制作りに取り組み始めた。2013年からは計画無痛分娩の制限をなくし,24時間体制で無痛分娩が可能になった。その後,ニーズはさらに高まり,2010年からの10年間で無痛分娩件数の割合はおよそ10倍となった(2010年は8.5%)。現在,経腟分娩の約8割が無痛分娩という状況である。
産婦は陣痛の痛みや分娩への不安・恐怖を少なからず抱いている。無痛分娩を行えば不安や恐怖をすべて取り除けるわけではない。無痛分娩であっても産婦の気持ちを理解し,一番近くで寄り添い,ケアを行う助産師の役割は重要である。また産科医師,麻酔科医師,助産師が安全な出産に向けて,産科医師,麻酔科医師とチーム一丸となって無痛分娩を行うことの重要性も感じている。本稿では,当院の無痛分娩の実際,無痛分娩に対する助産師の意識と関わり,無痛分娩教育について述べていきたい。
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