特別記事
妊婦のマイナートラブルと種々の症状に対する漢方薬などの適応
飯岡 秀晃
1
,
米田 聡美
1
1高清会高井病院 産婦人科
pp.578-585
発行日 2019年7月25日
Published Date 2019/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665201309
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はじめに
母体および胎児への影響は少なくても,母体に不快感を与えてしまう症状を妊娠中のマイナートラブルとして取り扱い,投薬などの対処が必要になることもある。生体にやさしい作用をするとされている漢方薬は妊娠中でも比較的使用しやすい薬ともいえる。例えば,古くより,妊娠中の安胎薬として知られてきた当帰芍薬散は,妊娠により起こる血や水の異常をうまく調節する方剤であり,妊娠中にかかせない漢方薬となっている1)。
また,漢方特有の概念である血虚(貧血等に相当),水毒(浮腫等に相当),瘀血(血液循環不全等に相当),気虚(生命エネルギーの不足等に相当)などの症候を手がかりに,証(どんな治療をすべきかのあかし)に従った適切な漢方薬を選択すれば,西洋薬にはない効果を認めることもある。特に,冷え性ならびに冷え性に随伴した症状の治療には漢方薬が役立つことが多い。本稿では,妊娠中のマイナートラブルとその症状への対処について,漢方薬の処方を中心に解説する。
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