特集 70巻記念号 『助産雑誌』と私の歩み
【私と助産雑誌】
連載の思い出から
横尾 京子
1
1広島大学
pp.18-19
発行日 2016年1月25日
Published Date 2016/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665200388
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助産婦としての価値形成
『助産雑誌』では,連載の機会を2回いただいた。1回目は第32巻(1978年),「母と子を看とるなかで」という題名(図)で,その何回かには,ハイリスク妊娠のために生児を得られず,一縷の望みをかけて出産に臨む女性とのかかわりから,“アラサー”の私が感じたことや思いを書いた。改めて読んでみると赤面してしまうのだが,その時代,誌名はまだ『助産婦雑誌』で,「勤労妊婦への保健指導」や「急増する里帰り分娩」「母性愛」などのテーマが扱われていた。海外では「女性の産む権利」「自然出産」「家族中心」といった考え方が台頭し,医療にも変化が求められていた。そうした時代の動きを感じ取っていたのだと思うが,子どもを産めない,もてない女性と助産婦はどう向き合えばよいのか,何をすべきか……といった,当時の焦りとも使命感ともいえるようなものが伝わってきた。振り返ると,私にとって1回目の連載は,助産婦としての価値形成のために大切な経験だったと思う。
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