連載 バルナバクリニック発 ぶつぶつ通信・90
運を味方に
冨田 江里子
1
1St. Barnabas Maternity Center
pp.954-955
発行日 2011年10月25日
Published Date 2011/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665102026
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医療にも限界はあるし,効果的なタイミングもある。人の生死は簡単に予測できないし,奇跡も不幸も起こる。それを私たちは運と呼ぶのかもしれない。
巡回診療先のゴミ山で,私たちは下痢・下血でやせ細り,肺炎を患う5歳のジョイスと出会った。錆びた針金や鉄くず,いろいろなビニールとプラスチック,ビンなどに仕分けられたゴミが大きな袋に詰められ,積み上げられている。その奥にはベニヤ板の壁が2面しかない家があった。2畳もない広さのスペースに家族4人が寝ているのだろう。そこに上半身だけ冬用ジャケットに包まれたジョイスが寝かされていた。
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