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『世界の出産―儀礼から先端医療まで』
カーティー 倫子
1
1アクエリエル京都
pp.554
発行日 2011年6月25日
Published Date 2011/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101928
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「人生のうちで,何度もないことだから」という言葉は,人生の一大イベントを語る上でよく使われる。出産もこの一大イベントのひとつと捉えて間違いないだろう。「何度もない出産」は特別なことであるために,確実性や安全性を求める傾向にあり,医療の介入なしに語られることはなくなってしまった。そして,先進国では過度の医療化への反省から,その問題点をあぶりだす作業がなされてきている。
情報があふれ,欲しいものが手に入りやすい先進国においては,「医療消費者」という言葉まで登場し,出産の医療化や商品化が極端に進んだ状況がうかがえる。現在の日本の出産事情を「ファッション化する出産」と捉えた文章で始まる本書は,まず近代化が加速している上海での医療化について語り,タイでのメディカルツーリズムなどの医療の商品化,つまり市場化についても紹介する。
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