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はじめに
ニューヨークでの研修2日目,この日の目的は,日本にはない助産教育の1つ,ダイレクトエントリーについて学ぶこと。そこで今回は,研修のコーディネーターであるドロシア・ラングさんが助産学を学び,現在はダイレクトエントリーのプログラムを行なっているニューヨーク州立大学のブルックリンにあるヘルスサイエンスセンターを訪れた。ニューヨークの中心部から電車で約1時間,駅を降りれば歴史ある大きな大学がわれわれを出迎え(写真1),足を進めると真新しいBehavioral Health Centerなどの各センターが道の両脇に広がる。大きな病院街といった風情である。
ダイレクトエントリーは,看護師の資格がなくても助産師の免許試験の受験資格を取得できる教育プログラムであり,アメリカのほか,イギリス,オランダ,ペルーなどの大学の学部教育や大学院教育の修士課程で行なわれている1-4)。
日本は,戦後GHQの看護制度改革の指導により,1948(昭和23)年の保健婦助産婦看護婦法の公布以降,助産師または保健師になるためにはまず,看護師免許を取得することになった。そして,現在も看護師の資格は,助産師になる条件の1つである5)。
その国の文化や国民性,女性のニーズや助産の業務範囲・ヴィジョンがあるため,日本の助産学教育を諸外国に追随して改革するか,いや,日本の歴史から考えると,もともとの日本の助産学教育を取り戻すという考え方もできるかもしれないが,日本でダイレクトエントリーを導入するか否かについては,今後を見据えた議論を展開していく必要があるだろう。そこで,本稿ではダイレクトエントリーについての研修内容を報告することで,日本の今後の助産学教育を考える際の一助となればと考える。
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