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読者談話室 青年海外協力隊の活動が始まって
田中 知子
pp.206-207
発行日 2011年2月25日
Published Date 2011/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101835
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私はこれまで助産師として病院勤務のほかに,提携している離島病院(屋久島,種子島,徳之島)での活動,ネパールの山間部でのNGO活動を経験してきた。こうした経験が千葉大学で文化人類学を専攻するきっかけとなったが,人類学的な物事の見方である「『他者』をつうじて『自分』を照射し,理解する」という視座は,それまでの私が持つ概念を一掃させた。こうした気付きから,異文化の中で,女性が産み育てることについて再考したいという思いに至り,青年海外協力隊(JOCV)に応募し,最終年齢で参加する機会を得ることができた。
2010年7月26日より,インド主都デリーから遠く550km離れた,マディアプラディシュ州ティッカムガル県で活動が始まった。近年,経済成長の著しいインドではあるが,農村地帯であるティッカムガル県は交通量も少なく,牛や豚がのんびり道を歩く,ゆったりとした,私のノスタルジアをかきたてる村である。また,新鮮な野菜や果物が毎日道端を彩っている。この地に外国人が住むのは,先任の村落開発の若い男性隊員に続き私が2人目であり,現地の人々に取り囲まれて,一瞬,芸能人のような気分になってしまうことがある。
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