連載 スキルアップのための症例検討 問題発生時に助産師はどう対応するか・10
常位胎盤早期剥離(胎児機能不全)
進 純郎
1
,
高木 愛子
2
1聖路加看護大学臨床
2愛賛会浜田病院
pp.82-85
発行日 2010年1月25日
Published Date 2010/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101591
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症 例
Aさん36歳,0回経産。身長162cm,体重64kg,外来定期健診での血圧120/80前後で,尿蛋白は(±)~(-)を推移し,尿糖(-)であった。
妊娠経過では,妊娠32~35週まで切迫早産の診断で,子宮収縮抑制剤を服用していた。妊娠38週6日,陣痛発来にて17時30分に入院となる。
入院時所見:内診したところ子宮口は3cm開大,展退60%,ステーション-1で回旋異常は認めなかったが,内診時わずかではあるが鮮血の流出が認められた。陣痛は7分間欠で,持続時間は30秒であった。入院時のアドミッション・テストでは基準心拍数は140bpm,細変動は存在し,一過性頻脈も認められreassuring fetal status(胎児の安全が保証できる状態)と診断した。
入院後,20時35分のCTGで図のような所見が得られた。内診したところ子宮口は7cm,展退は80%,ステーション+2であった。内診時,わずかではあるが,また流れるような鮮血の流出を見た。
陣痛間欠は3分周期で,特に異常な痛みの訴えはなかった。すぐにドクターコールを行ない診察を受けたところ,常位胎盤早期剥離の可能性が高いということで緊急帝王切開となった。
21:05:2980g,女児,アプガースコア8点(1分値),10点(5分値)で,臍帯動脈血血液ガスではpH7.28,PCO256mmHg,PO213mmHgであった。
胎盤所見では20%の胎盤剥離と凝血塊の付着が認められ,常位胎盤早期剥離と診断した。術後は母子ともに異常なく,産褥7日目に退院した。
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