連載 BFH認定をめざして チームで支える母乳育児・5
褥婦棟での母乳育児支援(後編)
井本 寛子
1
1日本赤十字社医療センター
pp.730-736
発行日 2009年8月25日
Published Date 2009/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101495
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はじめに
昨今の産科医療施設の閉鎖により,分娩を取り扱う医療施設では,分娩の集約化と集中化が起こっていることは周知の事実である。これにより,その施設の多くは,分娩の制限や産後の入院期間の短縮化などを余儀なくされている。
バースプランにそって産婦主導で行なう出産支援や母乳育児支援は,その後の親子関係に影響が高いという理由で,産科にかかわる医療スタッフが時間をかけて懸命に支援を続けてきた。とりわけ,母乳育児支援はその確立までに1週間は必要である。しかし先に述べたように,入院期間が以前より短縮し,分娩が集中していることで,日本赤十字社医療センター(以下,当センター)のような医療施設においては褥婦が育児に慣れないうちに退院を迎えることになる。
また,退院後のフォロー体制の要である外来では,妊婦管理にマンパワーが費やされ,母乳育児支援領域に十分な体制を構築できない事情が生じている。このことから,昨今の産科医療問題は分娩だけではなく母乳育児支援にも大きく影響を及ぼしている。
当センターもここ数年で年間の分娩件数が増加し,褥婦棟でのケア環境が様変わりしている。そこで今回は前編に続き,褥婦棟での母乳育児支援の実際と管理に焦点をあて,勤務体制,申し送りとカンファレンスの工夫,新生児科医師との協働,血糖値管理,および短期入院と退院後のフォロー体制について紹介する。
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