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はじめに
本校は平成19年度より養成数を10名増員し,25名の助産師学生を育成している。
平成21年度のカリキュラム改正に伴い,看護基礎教育卒業時にすべての助産師学生が修得しておく必要がある技術とその到達度が明確にされた1)。それによると分娩期の診断とケアのなかで,異常状態における技術の種類として,「会陰の切開および裂傷に伴う縫合」の到達度が「学内演習で実施できる」と示された。
また,助産師の責務として,保健師助産師看護師法第38条に掲げられている条文には「助産師は,妊婦,産婦,じょく婦,胎児又は新生児に異常があると認められたときは,医師の診療を求めさせることを要し,自らこれらの者に対して処置をしてはならない。ただし,臨時応急の手当てについては,この限りではない」2)とある。事実,開業助産師にとって臨時応急の手当てを施す事態として,止血のための相互圧迫や,会陰裂傷2度以上の場合は止血のための縫合をすることも緊急時には不可欠3)である。よって,救急時の対応として,止血の目的で会陰縫合は実施することもあるという前提のうえでの教育が必要になってくる。
いうまでもなく,正常経過をたどる助産診断・技術は必須であるが,応急処置の技術は自立した助産師の育成にとって必要である。臨時応急の処置としての会陰縫合術は,臨地実習で体験することは困難である。このことから学内におけるシミュレーション教育の開発は必然であると言える。
従来は会陰切開・裂傷の縫合術についてはガーゼを用いて会陰に見立て,針や持針器の用い方を体験させていた。しかしガーゼを媒体として会陰に見立てるには感覚的,視覚的に限界があり,ただ単に針や持針器の用い方を学ぶのみに過ぎなかった。
そこで,今年度は学内において医師による会陰切開・裂傷の縫合術の講義およびデモンストレーションを取り入れた。教授方法として,会陰縫合シミュレーションを通して鶏肉を用いた技術演習を設定したので紹介したい
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