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はじめに
帝王切開率の上昇が著しい昨今,帝王切開分娩を経験した女性は,次の出産時に2つの分娩様式(VBACあるいは選択的帝王切開)のどちらかを選択し決定をしていくことになる。その選択と決定のプロセスにおいては,前回の帝王切開分娩の経験,それぞれの分娩様式のリスクの受け止め方,家族の事情,そして医師との関係性や病院の方針などさまざまな要因が関与していると考えられており,その選択と決定は,女性にとって決して簡単なことではないと思われる。
また少子化とともに,出産を取り扱う病院は日本各地で閉鎖に追い込まれていること,さらに産科領域の医療訴訟の問題も深刻化していることから,VBACを希望する女性を受け入れている病院は限られている現状にある。そのため帝王切開分娩を経験した女性がVBACを希望しても,なかなかその受け入れ先の病院を見つけることが困難な状況である。
このような現状のなかで助産師は,帝王切開分娩を経験した女性の出産選択において,どのような支援をしていくことができるのであろうか。
このような思いから,2008年6月8日(日)に「帝王切開分娩を経験した女性のための出産選択の支援」をテーマに掲げ,医療関係者および一般の方々を交えシンポジウムを開催した。今回のシンポジウムでは,オーストラリアからアリソン・ショートン(Allison Shorten)氏を招き,「決定援助」の視点から上記テーマで基調講演をしていただいた。また上田たかこ氏,横手直美氏にシンポジストとして,臨床での取り組みや研究結果から得られた知見について発表していただき,その後参加者とともにディスカッションを行なった。
ここでは,今回のシンポジウムの基調講演,ならびにシンポジストの発表とその後のフロアからの質問と意見を紹介したい。
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