連載 今月のニュース診断
年金問題と産み育てること
田倉 智之
1
1東京女子医科大学医療・病院経営管理学
pp.798-799
発行日 2007年9月25日
Published Date 2007/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101081
- 販売していません
- 文献概要
きっかけに
年金の給付料(受け取る金額)が保険料の負担よりも下回ることを指摘する報道に多少関心を示すことはあるものの,働く世代の大部分にとって「年金」とは,今までさほど身近な話題ではなかったのではないだろうか。ところが,最近の各種報道(朝日5月26日など)で年金記録に関する諸問題が脚光を浴びるようになり,年金制度に対する信用が低下する一方で,人生設計のなかにおける年金の役割について関心や権利意識は高まっていると考えられる。
このため,年金記録の不備の実態や政治的な駆け引きの側面はさておき,戦後レジームの脱却という社会の構造転換が進められる今,この問題をきっかけに社会保障を1人ひとりの人生のなかで改めて精査することは意義の高いことと言える。そこで,年金制度が子どもを産み育てること,および働くこと自体にどのような影響を及ぼすのか,それらを経済的な切り口から少しまとめてみる。
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.